これはただの日記

なにも考えていないようだ

気づいたらエンジニアリングマネージャーになっていたあなたへ

Engineering Manager Advent Calendar 2023 - Adventar 22日目の記事です。

 

最近エンジニアリングマネージャーの盛り上がりってすごいですよね。ちゃんと仕事として認められている感じがするというか。色んな人がノウハウを共有している今の状態は本当に素晴らしいなと感じています。

 

さて、私は気づけばエンジニアリングマネージャーになりました。自分がやっていた仕事を拡大する過程で採用にも関わり、素晴らしい仲間と一緒に仕事をするにあたって、マネージャーという役割を担うようになりました。

 

speakerdeck.com

 

私みたいな人はけっこういると想像しています。組織内にエンジニアリングマネージャーという役割が確立されていない頃から自社でマネジメントっぽい何かに携わり、どうやら世間ではエンジニアリングマネージャーという役割があるらしい、みたいな。

 

今回はそんな人に向けて、エンジニアリングマネージャーの文脈でよく話されるテーマとかを無視して、当時の自分の思い出話を書きます。

 

## そもそもマネージャーをやっている自覚がない

私がマネージャーになった当時はリーダーっぽい役の1人くらいの認識でマネジメントの仕事をしていた気がします。

そもそもマネージャーとなったのは開発組織の拡大に伴って、自分がやっていた領域にたまたま組織のハコができたからであり、マネージャーと言われても「はあ、そうですか」に近い状態だったかもしれません。

 

するとどうなるかというと、組織としてマネージャーに任せられた業務をする以外は今までと何も変わらないわけです。組織としてマネージャーに任せられる業務というのは、多くの組織では「目標設定」や「評価」をやっていくことになると思います。

 

さて、今までと心の持ちようが何も変わらない人がマネージャーをするとどうなるかというと、びっくりするくらい自分のやり方を仲間に押しつけることになります。

組織が成長していると、目の前の業務をなんとかするにあたって自分の仕事を任せるしかありません。任せ方なんてのも誰にもならってないわけで、とにかく自分のやり方を教えることになるわけです。

 

いやー、当時を思い返すと本当にメンバーには申し訳なかった。Pull RequestでもSlackの議論でも、とにかく自分が納得できるまで議論をし続けていて、無数にコメントを連ねていました。(納得することが大事なのは今でも引き続きそうなんですが、どちらかというと周囲からは僕を説得してくれという風にうつっていたかもしれません。)

相手のやり方を尊重するとか、じっくり任せるとか、もっと器用にやればいいのにと今なら思うんですが。

 

## 持つべきは、あなたと一人の人間として向き合ってくれる相手

私がラッキーだったのは、まわりに非常に経験豊富な指導者がいたことです。クックパッド出身の井原さんとサイボウズ出身の萩原さんのお二人と定期的に色んな話をする過程で、軌道修正をしていたように思えます。

 

私がお二人から学んだことは無数にあるわけですが、最も価値があったことは、私とエンジニアリングマネージャーとしてではなく、一人の人間として向き合っていただけたことだと感じます。

よく言われるように、マネージャーのやり方に正解はありません。それはつまり最終的には自分のスタイルを見つけるしかないということです。

 

おそらく当時の私はツッコミどころしかなかったはずですが、お二人は毎度じっくりと私の考えと向き合ってくださいました。今になって分かりますが、この過程がないと私はいつまでたっても自分に自信が持てていなかったでしょう。たとえば、マネジメントの正解のようなものを見るたびに、自分とのギャップに苦しんでいたのではないかと思います。

 

事業や組織の問題とどう向き合って、どう対応していくかは、現場にいるあなたにしかできない仕事です。必ず、うまくいくこと、うまくいかないことがあります。

 

時には周囲から批判されることもあるでしょう。なんでそんなことしたんだ、何やってるんだって。

そんな場面に向き合い続けるためには、いつも自分の意思で取り組んだという気持ちと、それを支える自信が必要です。「エンジニアリングマネージャーの教科書(そんなものはないんですが)的に正しいことをするぞ」だと「周囲が○○してくれなかったからだ、おれはうまくやった」と逃げの気持ちがついてきます。

 

お二人が私と一人の人間としてじっくり向き合ってくださったのは、きっとそうなることを分かっていたからではないかと今なら思います。

(こうした素晴らしい指導者を組織に連れてきてくれた当時の社にいた関係者の皆さんには感謝してもしきれません。)

 

## エンジニアリングマネージャーが成長するには

少しずつエンジニアリングマネージャーとしての成果もでてきた頃、自分のマネジメントのあり方を形成する過程を記録する取り組みをはじめました。それが以下のブログ記事たちです。

 

kths.hatenablog.com

kths.hatenablog.com

kths.hatenablog.com

kths.hatenablog.com

 

先ほどマネージャーのやり方に正解はないと書きましたが、それは他人の経験から学ぶ必要がないという意味ではありません。むしろマネジメントの仕事は成果につながるまで時間がかかるものですし、自分の経験から学ぶことに固執していては成長スピードが足りません。

 

なので読書でも良いですし、自社や他社の仲間との会話からでも良いですし、学びを自分の糧にするサイクルを回し続けることが必要です。

 

私は専門性としてのマネジメントは持ち運びがしやすく、普遍性が高いものだと考えています。技術の進化で私たち人間の仕事の進め方は変われど、人と人がコラボレーションして目的に向かう本質は頻繁に揺れ動くものではないと考えているためです。だからこそ学び続ければ報われやすいですし(かといって成果につながる確約はないのですが)、その姿勢に価値があると思います。

 

## 皆さんへのアドバイスはなにもない

少し長くなりましたが、私のエンジニアリングマネージャーとしてのはじまりとここまでについてをご紹介しました。

 

これからエンジニアリングマネージャーとして仕事をしていく人に何か持ち帰って欲しいというよりは、自分の気持ちのスナップショットを残したい気持ちで書きました。

 

なので、エンジニアリングマネージャーをはじめたばかりの方へのアドバイスなんてものはなくて、ベストプラクティスとかアンチパターンとか気にせず、まずは自分らしくマネジメント業務に取り組んで乗り越えることを大切にして欲しいと考えています。

 

私のこの姿勢が生存者バイアスだと言われればそれはそうなんですが、先ほど書いたように、結局あなたのスタイルはあなたが見つけるしかないのだから。

 

何か話したいことがある方はお気軽にDMください。

https://twitter.com/katsuhisa__