去年もやったので、今年もやろうと思う。2018年の振り返りはこちら。 kths.hatenablog.com
仕事
今までと違う脳みそを使った一年だった
以前の記事でもちらっと書いたけど、2019/9から開発チームの副部長をしている。といっても2019/10中旬から育休にはいっているので、実質まだ1ヶ月しか活動していないけど…2018/9からSREチームのEngineering Manager業をしているので、2019年は基本的にはそういった方面のお仕事をしていた。
最近よく意識しているのは、自分の仕事は開発チームが継続的に成果を出すためのアーキテクチャをつくることだということ。アーキテクチャには、どんなチームにしたいかという言語化だったり、その文化を下支えする技術的な仕組みの整備だったり、その文化をよりよくしてくれる仲間の採用だったり、様々なものが含まれる。単に人の採用や育成や評価だけに取り組むわけではない。
で、そういったお仕事に取り組んできて痛感したのは、どの施策がどのレイヤーの課題に効くか?という観点整理の難しさ。また、優先順位の並び替えも難しい。これは、取り組む対象は異なるが、PdMのお仕事が難しい理由と同様のものだと思う。多くの仕事において、成果は複雑。AとBをやっていれば成果が出ていると思い込んでいたけれど、実際は別の施策が効いていたりすることもある。または、思わぬ副作用が出ていたり、実は想定していない方面での成果につながっていたり。もちろん、紙に書き出して、観点整理をするだけならかんたんだけど、現実で起きている問題を色んな角度から眺めてみて、背景分析をするには、まだまだ自分の中では解像度を高める余地があることを実感している。向き合う問題の複雑さや難しさは、自分にとっては仕事のおもしろさにつながるので、楽しく仕事ができている。
複雑な問題と向き合うには、複雑な問題を複雑なまま扱うのではなく、特定の観点やレイヤごとのシンプルな問題の組み合わせとして扱うことが効果的だと思っている。ので、その切り取り方をもっとうまくできるように、自分の仕事や向き合う対象の解像度を高めることに引き続き向き合いたい。チームの課題は様々な場所にあり、ともすると発生した問題に対処していたら1年が終わっていた、なんてことになりかねない。何から変えると、組織の成果を出すための最短経路なのか、というのは常々よく考えながら仕事をしたい。目的達成のための資源配分を間違えると、本当に多くのものが無駄になってしまう。常に自分の見えている視野を広くしておくためにも、真面目に仕事しつつも寄り道を楽しむ。
コードを書く時間が減った
2018年までは、仕事でコードを書く時間がまだまだあったが、今年からは極端に減った。ただ、そのことによる不安感はそこまで大きくない。というのは、プライベートで新しい技術を試す時間を確保する過程で、技術を使ってやりたいことが多くあるから。僕自身は、技術を使って何かをつくるモチベーションを失うことを1番恐れている。 また、今のチームなら、再びコードを書くことをメインの仕事にすることも、きっとうまくできるだろう、という安心感があることも大きい。これは今いっしょに働くメンバーに恵まれているので、そう思えるのだろう。で、その安心感がなぜ生まれているのかというと、採用活動において、○○がワカランやつは採用しねえってことをやっていなくて、技術との向き合い方だったり、その人の好奇心がどこにあるのかを見ているからだと思う。これはもちろん技術面を軽視するということではなく、技術的な素養は選考時にも見ることを大切にしている。
ただ、今後特定の技術領域の問題解決が、組織の成果を最大化するための重要度が大きく上がれば、Job Descriptionのつくり方も方向転換する可能性はある。そうなれば、僕も社内転職をする際にはその技術レベルを満たせるように必死に努力する。「THE ENGINEER/MANAGER PENDULUM」の考え方を参考に、すべての職種で、スペシャリスト⇔マネジメントのお仕事を行ったり来たりできるようになるとよいなーと思っている。先日書いた記事で、「ジョブ・クラフティング」が大切だと書いたけど、これはスペシャリスト⇔マネジメントを行ったり来たりできることにおいても同様に大切だと思う。(ただし、前述したように、社内転職をする際にも、社外に公開しているJob Descriptionに書かれた内容を満たすことは前提。)また、単に会社の中でスペシャリスト⇔マネジメントの職種を変えることだけでなく、自分の人生の時間の使い方のバランスを変えることも含まれると思う。
発表してきたもの
SRE Lounge主催者が見てきた各社のSRE的取り組み / SRE in Japan
名古屋での登壇で印象に残っている。名古屋のSREの皆さんも、東京にいる人たちと同じく、SREの考え方を自分の関わる環境に適応するために尽力されていて、素晴らしいなと感じた。お誘いいただいた @gkuga さん、本当にありがとうございました。
AWS サーバーレスアーキテクチャでつくる Slack ChatOps / Use Slack ChatOps to Deploy Your Code
久しぶりにサポーターズさんの勉強会で登壇させていただいた。ChatOpsの話をしたが、本当に言いたかったことは、ChatOpsでできることを増やそうぜ、ということではない。むしろ、どこまでを、何を、ChatOpsで実現するかの線引をするのはSREの腕の見せどころだと思っている。コードを書いて問題解決するのは最後の手段であるべきで、できるだけコードを書かずにやりたいことを実現できるような仕組みづくりにより時間を使うべきだと思っている。そうすることで、本来メンテしたいコードに、まとまった時間を使うことができ、結果としてそのコードに向き合う人たちの幸福度も向上すると信じている。稼働しているのに、メンテされないコードが増えるほどつらいお気持ちになるのは誰もがそうだと思う。
NoOpsを実現するSREの存在意義と役割 / class SRE implements NoOps
NoOps Meetupさんに登壇させていただいた。細かい話はこちらに書いたので詳細は割愛。
プロダクト開発における暗黙知との向き合い方 / Strategies For Tacit Knowledge Transfer At Software Development
ガイアックスさんの勉強会で登壇させていただいた。細かい話はこちらに書いたので、こちらも詳細は割愛。
スタディスト開発部が面接で大切にしている 3つのこと / 3 values in interviews at Studist
転職透明化らぼに登壇させていただいた。開発部の副部長に就任した直後の登壇で、自分自身が採用活動に向き合う、改めての決意表明も込めて話してきた。採用は、組織において最も大切な人事活動なので、今後も1つずつ誠実に向き合うしかないと思っている。
チームで取り組む障害対応 / Incident response as a team
福岡のSRE Meetupで登壇させていただいた。障害対応について話してきた。お誘いいただいた@transnanoさん、@matsumanaさん、ありがとうございました。
私事
SRE NEXTの準備を進めていた
2020/1/25に開催する日本初のSREのカンファレンス「SRE NEXT」の準備を進めていた。おかげさまでチケットは完売いたしました。スポンサーの皆様、登壇者の皆様、参加者の皆様、そしていっしょに準備を進めてくれているスタッフの皆さんに、本当に感謝しています。準備期間は残りわずかですが、SRE同士が知見を交換する最高の場にしたいので、引き続きよろしくお願いいたします。
見たもの
今年はNetflixをとうとう契約した。オリジナル作品が良いのはもちろん、シリーズ作品を見る時の映像の切り替えの体験だったり、最高です。もっとはやく契約しておけばよかったなーと思った。
クィア・アイ in Japan!
あなたはあなたのままで良いんだというメッセージの尊さに気づかせてくれた作品。人が変わる(というよりも、その人らしさを取り戻すという意味では元に戻るといった方が正しいかもしれないけど)瞬間に立ち会う素晴らしい体験だった。
天才の頭の中: ビル・ゲイツを解読する
世界一の大富豪と聞くと、多くの人は優雅にリタイア生活を送っているように思えるかもしれないけど、ビル・ゲイツは今でもバリバリ仕事をしている。…映像を見る前から、ある程度そうだと分かっていたけど、改めて、彼が今どんな問題に向き合っているか、何を考えているかを知って、自分も規模や方向性は違えど、生涯こうありたいと心から思った。
グリーンブック
個人的には今年ナンバーワン。いっしょに過ごす人間と、あるがままとして付き合っていくことで、最高の友になれることを伝えている作品だと思う。
バイス
利己的な人格が壊れた人間は遅かれ早かれ人生をめちゃくちゃにする。本作品はその最悪のケースとして、世界の政治情勢までも塗り替えてしまう結末まで描かれている。作品としては、組織としてやってはいけないこととは何か?を客観的に見れるのも良い。その観点では、ドラマ「チェルノブイリ」も同様の学びが得られた。こちらもまだすべて見れていないが、非常にオススメ。