これはただの日記

なにも考えていないようだ

プロダクト開発における暗黙知との向き合い方

先日、「プロダクト開発における暗黙知との向き合い方」というテーマで Gaiax Technical Meetups でお話をしてきました。

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先月の NoOps Meetup での登壇 然り、僕は話し始めに下を向く癖があるようです・・・なおさねば・・・

話したこと

speakerdeck.com

暗黙知とどう向き合うか?について普段意識していることを話しました。とはいうものの昔の自分は実践できていなかった内容なので、世の中に需要があるかもしれない、と思いこのテーマを選びました。結果、懇親会や、資料を見た方から共感の感想をいただいたりと、各所でご参考いただけてよかったな、と思っています。

当日の様子

https://twitter.com/saiid_kk/status/1143471752976068608

みなさんありがとうございました。特に、Gaiax の皆さん、いつもあたたかく迎えてくださり、本当に感謝しています。

参考文献の詳細な紹介

今回、登壇するにあたって久しぶりに色んな文献を読み返しました。自分が無意識でやっていることが、いろんな情報をもとにつくられていることがよく分かったり、また、自分としても再度文献を読み直すことで発見が多々ありました。

伝統という言葉を出すといろいろ誤解を生みそうだけど、不自然な目的合理(べき論と表現すると多くの人にとってはしっくりくるかな?)を重んじることの危うさについて触れた書籍。今回の登壇にあたり、なぜこの本を再度読み返したかというと、技術知と実践知について触れられていたことを急遽思い出したから。部分的に読み返し、自分の中での技術知と実践知の差分を深化させたれたような気がします。 実はこの本を読み返したのは大学以来で、登壇が良いきっかけになって本当に良かった。この本は、最近読んだ『測りすぎ――なぜパフォーマンス評価は失敗するのか?』でも引用されていました。

エンジニア界隈で言わずと知れた広木さんの書籍。ビジネス書と技術書のいずれでも二冠をとった初の書籍だそうで。マネージャーになってから何回も読み返していて、今回も参考にさせていただきました。

伊藤直也さんの過去の登壇資料。プロダクト開発における暗黙知を単に放置するだけの危うさについて触れた発表資料で、今回の私の発表の前半部分でも引用をさせていただきました。

いつになったら日本語版が出るんだろう。人の学習をデザインするために大事なことが様々な観点からまとまっていて本当に良い書籍。本書は、今回の資料内では直接引用していませんが、自分がチームでの場を考える時にたまに読み返しています。そして、スタディストSREでのチームの場づくりについても今回紹介したので、本書へのリスペクトを込めて参考文献として記載をしました。

これもいつになったら日本語版が出るんだろう。本書のメッセージの一つである「knowing what gets done is not the same as knowing how it gets done」は、自分が今回の発表で伝えたかった内容と同じです。チームとして不確実性をマネージするために非常に参考になる一冊。

言わずと知れた野中先生の論文。SECIモデルについてはご存知の方が多いですが、もととなる論文に目を通したことがない方も多いのかな?と思い、今回改めて読み、引用をさせていただきました。SECIモデルの紹介だけでなく、良いことたくさん書いてあるんですよねえ・・・

http://theelearningcoach.com/ というサイトがあるのですが、その中の一記事。暗黙知の移転をどのような方法で行うことができるか?という戦略について述べられており、今回の発表テーマとドンピシャの内容です。

優れたリーダーは、暗黙知をうまくマネージしてるんだぜ?ということを調査した論文。リーダーシップってふわふわした概念に思われがちですが、こういった側面から理解を深めていくと、リーダーシップも科学できる範囲はたくさんあるよなあ、と。

データ、情報、知識、知恵の階層構造や、それぞれとどういう向き合い方をすべきか?を述べた書籍。情報のエキスパートとして30年国連で活躍した著者が書いただけあって、すごく骨太な内容です。自分としては、今回の発表の中で使っている「暗黙 "知" 」という言葉の定義から本当は話し始めたかったのですが、さすがに聴衆が聞きたい内容とミスマッチだよな、と思い、発表中では本書のことには触れませんでした。 これを読んだことがある方、ぜひ続きを居酒屋で。ご連絡お待ちしています。

なぜこのテーマにそんなに思い入れがあるのか

というわけで、暗黙知についての発表をしてきたのですが、なぜこのテーマにそんなに思い入れがあったのか?を最後に少しだけ。 僕は、数年前から、人間の思考の成り立ちや再現性に興味があります。世の中には天才と言われる人たちがいたり、自分も話していて「この人は天才だなー」と思う人が数名いるのですが、生まれつきそうだったという人は実はそんなに多くないのではと思っています。(もちろん中には生まれつきの天才もいるかもしれませんが、実はその人が裏でとんでもない努力をしていた場合、すぐに天才だと決めつけるのはちょっと失礼かなという気もしなくもありません。)では、何がその人を天才たらしめるかというと、色んな知識や経験についての興味を深掘りする力だったり、整理する力だったりするのではないかなーと思っています。 そこで、情報(前述したデータ、情報、知識、知恵の階層構造然り)の特性に理解を深め、天才を生むための再現性のより高い仕組みについての興味関心が湧いてきたわけです。また、それを個人に対してだけでなく、チームに適用させるにはどう応用すればよいか?にも同じく興味があります。

・・・ということへの深掘りの蓄積の一部が今回の発表だったりします。という感じでした。 このテーマについては、自分の人生のどこかで、もっと深めていきたいと思っています。またどこかでこういうことをお話できたらいいなー。